■死人使いの見る夢

キミがこのゲームを真に始めようというなら、キミこそがネクロマンサーだ。
ドールたちで大いに楽しみ、弄繰り回してやる権利がある。
苦労して造った人形を、ぐしゃりと潰して終わりでは意味がない。
壊しては治し、壊しては治し、丹念にかわいがってやるべきだ。

キミは楽しまなければいけない。
これは義務だ。

ドールに希望をちらつかせ、足掻かせるのだ。
理不尽な絶望は最後でいい。
少しはキミ自身もリスクを負うといい。
それはゲームをより、スリリングにしてくれるだろう。
そうだ。
キミは、キミ自身の象徴たる存在。
ゲームの役割ではない、彼の世界の支配者としてのネクロマンサーとして。
ドールたちの前に姿を現してもいいのだ。

ネクロマンサーは、知性のカケラもない屑のような亡者をいくらでも繰り出せる。
時間にも材料にも不自由はしない。
ドールたちの遊び相手は存分に用意できるだろう。
屑どもは、ドールの魅力を引き出し、素晴らしい見せ場を提供することだろう。
キミが提供した武装が、変異が、改造が、どれほどに素晴らしいものか!
いかに美的な趣向に満ちているか、惚れ惚れさせてくれるに違いない。

それに、キミには追従者たちもいる。
キミを心から敬愛し、全てを捧げてくれる娘たちだ。
聞き分けのよすぎるところがつまらなく、飽き飽きしてもいるが。
ドールたちと触れ合えば、彼女らもまた面白いものを見せてくれるだろう。

キミの手の中には、彼女たちの記憶がある。
それは、彼女らが本当の自分に至るため、なくてはならないものだ。
光に誘われる蟲のようにドールはやがて、キミの元に来る。
愛しい娘たち、人形たちをどう迎えるか、じっくりと考えておくといい。

『永い後日談のネクロニカ』には6つの舞台と台本を用意している。
キミはまずこれを試してもいいし、また己の舞台の参考にしてもいい。
急ごしらえの舞台でもドールは踊れるかもしれないが、まずは手本が必要だ。
念入りに導き、そして眺めるといい。

さあ、キミの舞台の幕開けを!
終わった世界で、終わる物語を!
人形ならざる人形の舞を!

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(C)2011 Ryou Kamiya