「とりあえず質問の中でも、システムに則ってきちんと回答できるものをまず答えよう」
「は……はい」
「さっさとやるわよ。さすがの私も、今回は呆れて怒る気にもなんないわ……」
「うう……」
「私の助言を聞かないからこうなる」
「バルキリーさんまでっ」
「ほらほら始めるよ。普通の質問に答えるならキミだってできるだろう」
   
「ふん、最初の質問ね。PLはマニューバの外見を自由に変更していいの?」
「は、はい。NCが認めるなら基本的にOKです」
「しかしNCはいったい何を基準に認めればいいんだい? それに名前やデータについては?」
「やはり雰囲気ですね……ドール作製の時はついつい、その場で面白く思えて言い出したデザインが、シリアスな空気になればおかしくなる――ということも」
「なるほど。自分の墓石で殴るなんて攻撃も、最初の一回二回はともかくずっとやってると、おかしくなるでしょね」
「NCが責任を負うなら、外見に限らず名前、データの変更も可能。ただし推奨はしない」
「データはわかるけど、名前もかい?」
「行動判定で使える範囲が変わったり、キーアイテムと同じになる場合がありますから……」
「極端な一例。1レベル武装パーツ【釘バット】を【万能情報端末(稼動)】という名前に変更する。武器としてはあくまで鈍器。しかし――」
「あー……わかったわ。そこまで行かなくてもいろいろあるわね」
「そりゃ【ネクロマンサーの日記】だって鈍器に使えなくはないだろうからね」
「そんなわけで、NCはパーツの名前変更については注意してくださいませ(汗)。名前を変えて、ルール的に有利にしてはいけませんから」
「つまり【はらわた】を【麗しきドレス】に変える程度にしておけということかな」
「~~~~っ」
「それも、一部の厚顔無恥なサヴァントはともかく、ドールが無許可に行うものではない」
「ど、毒舌ねぇ……」
「ひ、ひどい……(えぐえぐ)」
   
「つ、次に移るわよ。マニューバのコストとしてパーツを損傷するのは、ダメージタイミングを発生させるの?」
「おーい、聞かれてるよ」
「……はっ!? あ、はい。発生させません!」
「“ダメージ”は『攻撃』等により発生する概念。適用されることで“損傷”という結果を生む」
「つまり、“損傷”という結果が先に出た時、“ダメージ”が発生するタイミングはもう終わっている……ということかな」
「そ、そう。そんな感じです」
「アンタ、わかってないでしょ」
「ダメージ発生→ダメージ適用→損傷、という流れがあるわけだ。損傷というのは最後の結果だから、過程であるダメージを操作しても意味はないし、そもそもダメージという概念も発生しないんだろう」
「つまり、私の抱えてる【失敗作】の効果も、ダメージタイミングは発生させないわけね」
「なるほど……【きもちいいくすり】や【庇う】は無理なんですね……私達も、リッパーなんかを手下に使うなら、注意しないと」
   
「それじゃ次。『支援』や『妨害』による修正は、狂気点やマニューバで振り直した出目にも加えられるの?」
「あ、はい。加えられますね」
「つまり、振りなおしはジャッジタイミングの効果ということかな」
「そう扱われる。これは暫定的FAQでも同様に確定――判定値を操作する『支援』『妨害』に対し、“振りなおし”は判定値の大部分を占めるであろう“出目”をランダムに変更させる、と解釈」
「はい♪ ですので“振りなおし”も、判定値を変える効果の内ですわ♪」
「調子に乗らない!」(げしっ)
「ひゃうっ、は、はひっ」
「今回はさすがに止める気になれないな」
   
「ついでに聞くけど、味方を『妨害』したり、敵を『支援』したりってアリなの?」
「は、はい……もちろんです。まったく問題ありませんよっ」
「補足。射程内の対象なら問題ない、になる」
「ボクだって、武装パーツの集中した腕が命中するより、頭に受けた方がマシなことはあるよ」
「味方を単に失敗させるより、大失敗でバブルヘッドを爆発させたいこともありますし……」
「クイーンを配置してそのような布陣は悪意点上、勧めない」
「あ、あう……」
   
「んーっと、そういえば。『切断』が付与したダメージで命中箇所の全てのパーツが損傷した場合、さらに『切断判定』は発生する?」
「……はい? ええっと、全損していたわけではないのですよね? なら命中はしますし、ダメージでたとえ全損でも、『切断判定』そのものは発生しますね」
「そうだね。どういう状況で使うのか、よくわからないけど」
「――想定。おそらく『切断に成功する』がカルマや勝利条件になっていた場合」
「えええっ、どういう状態っ!?」
「公式にはいないが――敵が『切断されない限り、次カウントにその箇所は全て修復される』能力を持っていた場合が想定される。敵を倒すには同カウントで全損させるか、複数の『切断』が必要」
「ははぁ、他にも特定箇所に【たからもの】該当の品を持っていて……といった場合があるだろうね。それを損傷させず、無事回収できればカルマ達成というわけだ。そこで『切断した』と言えるかどうかは重要となるだろうね」
「ふへぇ……そんな方法が……」
「アンタが感心してどうするのよ……準ネクロマンサーとか言ってたんじゃなかったっけ?」
「そ、そんなこと言われましても……」
   
「まー、今さらアンタがどうだっていいわよ。続いて『精神崩壊』してる時だけど、戦闘や行動判定ってOKなの?」
「え、えと、『完全解体』とは違いますから……未練の発狂効果と、対話判定を相手が振れないだけですわ」
「気持ちはわかるけどね。ボクも最初は『完全解体』と同じ状態だと思ってたし」
「ふーん。姉妹全員が『精神崩壊』するまで、そこまで重いペナルティはないわけか」
「全員が『精神崩壊』なら自動ゲームオーバー。気楽に構えられるものじゃないけどね」
「対話判定だけど、『精神崩壊』してる同士なら話が通じたりしないの?」
「ええーっ? そ、それはありませんよ。未練の内容が違うように、『精神崩壊』のあり様も人によって違うんですから……『精神崩壊』している同士が会話したって、対話判定もできません」
「対話は成立しない。だから、全員が『精神崩壊』でゲームオーバーになる」
「狂気を打ち払えるのは、未だ狂気に飲まれていないドールのみ……ということですね♪」
「うん。まあボクは『精神崩壊』するつもりはないよ」
「そーよ。私だってアンタらが変なことしなきゃ、普段は沈着冷静な戦闘マシンなんだからね!」
「変なこと?」
「何のことだい?」
「沈着冷静……?」
「うううううるさーい! 次よ! 次!」
   
「ほ、ほら、見間違いやすいところ! 2レベル武装パーツ【手榴弾】ってラピッドでいいの?」
「あ、はい。それは書いてある通りですよ。確かにひとつだけラピッドで、勘違いしやすいですよね~」
「そ、そーよね! 1ターン1回しか使えないのに、他に攻撃マニューバ取り忘れて指摘されたりとかねっ」
「はい♪ それでさっきの――」
「久しぶりなんだから巻いてくわよ!」
「…………」
「い、言いたいことあるんだったら言いなさいよーーっ!」(だだだーーっ)
「ううん、妙な追い詰め方をしたせいか逃げられてしまったね。ここからはボクが質問役をしよう」
「は、はい……オートマトンさん大丈夫でしょうか……」
   
「じゃあ、ボクのスキルについて質問だ。レクイエムのスキル【死の手】で、使用済みの『ラピッド』や『ダメージ』の攻撃マニューバを再使用できるのかな?」
「えっ? えーと、えーと……使用してかまわない、はず、です」
「補足。タイミング変更の効果を使用した時点で、同じタイミングであっても“変更”されたものとみなされる。元が『ラピッド』であっても、『ラピッド』から『ラピッド』へ“変更”される」
「なら、【死の手】と誘発された攻撃マニューバの処理が終わって、またタイミングが変更されれば、使用済みだったものが使用可能になるのかい?」
「それはない。再度“変更”されるのではなく、元に“戻る”だけ」
「へぇ。じゃあ、使用済みの【手榴弾】や【アサシンブレード】を使ってもいいわけだ」
「かまわない」
(よくわからないけど、きちんと決まったようでよかったです~)
   
「ふむ……これも迷う人がいるみたいだね。『記憶のカケラ』と同じ数だけ狂気点を減少させたパート内で、狂気点を後から受けた場合、さらに対話判定などで狂気点を回復させることができるのかな?」
「これはさすがに私でもわかりますわっ! ダメです!」
「どうしてだい? PLの視点からなら、“減らした狂気点”が“減った”から、また“減らせる”……と考えられなくもないよ?」
「そ、そんなわけないじゃないですかーっ!」
「『記憶のカケラ』の数は“各パートの中で減少可能な狂気点”。パート内で『記憶のカケラ』が増えれば増える」
「そ、そうですっ! だから狂気点が後から増えても、変わったりしません!」
「…………本当に?」
「本当にですっ!」
「OK。いいよ、それじゃそのくらい自信を持って、次の質問にも答えてもらおう」(なでなで)
「あはーっ♪ もちろんですわ♪」
(――登録。クイーンの攻略難易度はE級)
   
「じゃあキミの得意分野だ。ホラーを作成する時、3レベル改造パーツ【ガントレット】【キャンサー】は取り付けられるのかな?」
「それについては、ルールブックに記載済みです♪ P138『パーツ獲得レート表』の下にある注意欄を参照ください~。他にも見逃していないか、再チェックした方がいいかもしれませんね♪」
「……じゃあ、手駒専用パーツ【死者融合】や【肉漁り虫】なんかで必要なレギオンが足りなかった場合、レギオンは減らないのかい?」
「そんなわけありませんわ。水面の下で必死で水を掻く白鳥の如き、私の華麗なる戦いぶりを見てはそう思うかもしれませんが……その場合、レギオンの数が減る上、増援もされませんわ。詳しくはルールブックP128、右段7~11行目を確認なさることですわね♪」
「…………」
「――――」
「ふふっ♪ さあ次の質問もどうぞ~」
(よく反省もなく、あっさり調子に乗れるなぁ)
(――登録。クイーンの精神安定度はD級)
   
「次はリプレイについての質問だね。『独占』の発狂効果は、あくまで相手のパーツを損傷させるだけだろ? リプレイ『お茶会をもう一度』P230~231では、パーツを奪って己のものにしているみたいだけど……」
「はい♪ 『独占』の発狂効果はあくまで損傷させるだけですわ」
「じゃあ、どうして自身の体の中へ入れて己のパーツにできるんだい?」
「あら。己のパーツになんてしていませんわ。この時点ではただ、“未練対象の【はらわた】を引きずり出して自身のおなかに入れた”だけでしょう?」
「うぇ? ううん? あっ、そういうことか」
「ここでパーツの修復は行われていません。ただ、相手のパーツを自身の体に埋め込む演出をしているだけですわ。それが適合し、実際に動き出すかどうかは次のエンドパートでの修復次第ですね♪」
「なるほど……」
「ドールはアンデッド。自身のパーツにならなくとも、他の人のパーツやちょっときれいなものを、体に取り込んだり、突き刺しておいたり、生きた人間にできないことが演出程度で可能ですわ♪」
「さすがにボクはそこまでディープなことはしたくないな……」
「あら♪ 意外とノーマル――」
「――クイーン、次の質問がまだある」
   
「やれやれ……じゃあ通常のFAQで最後の質問だ。『箱庭の物語』の手駒専用パーツ【人形遣い】を複数回同じ対象に使い、一体の手駒に何度も攻撃させていいのかな?」
「え? 複数回?」
「【人形使い】を持った手駒複数を作り、一気に一体に使わせるということ。【人形遣い】【よぶんなうで】を持つ悪意の低いホラーを多数配置すれば、最大級の攻撃を一瞬で10回行うことも可能」
「リッパーなんかに使われれば、かなり強力な前線型ドールでもミンチになるだろうね」
「確かにそうですわね。しかし、それがどうかしましたの?」
「いや、強力すぎないかい?」
「確かに強力ですけど。手駒専用でしょう? ドールの方が使うわけでない以上、NCが役割を見失わなければ問題ないはずですよ?」
「どういうことだい?」
「NCはドールを苦しめこそすれど、全滅させることが目的ではありませんもの。ドールを全滅させたければ、ネメシスさんを『地獄』に置いて、『奈落』にスナイパーを10人くらい置けばいいのですわ。でも、そんなことしてもしょうがないでしょう?」
「…………」
「NCはドールの足掻く姿を見たいのですから。適度に壊し、適度に立ち直れるようにすることが仕事ですわ。これはネクロマンサーそのものが登場する戦闘ですら変わりません」
「…………いや、参ったな」
「見事な回答と感嘆する」
「当たり前でしてよ。なぜなら私は選ばれしサヴァント、ゾンビクイー」
「何ヘラヘラしてんのーーーっ!!!」【鎖鉄球】
「みぎゃーーーーっ!!」
「戻ってきてみたら全然反省してないじゃない! 追いかけてもこないし!」
「すまないね。発表を途中で放棄できないだろう? 落ち着きなよ」(なでなで)
「ご、ごまかされると思わないでよ!」
「まだ通常FAQが終わっただけだよ。暫定処理についてこれから説明しなくちゃいけないんだ」(すりすり)
「わ、わかったわよ……じゃあそっちを早く済ませましょ」
「あ、あの、バルキリーさん、私すごくいいこと言ってましたよね?」(よろよろ)
「人の価値は一言で変わることもある。しかし、日ごろの言動が判断の大半――」
「うわああん! ぜんぜん慰めでもなんでもないじゃないですかー!」
   
「さて、いよいよ暫定解決だね。これについては、そちらから提示してもらおうかな」(なでなで)
「そ、そーよ。アンタらが考えたんだから、しっかり説明しなさい!」
「まず、暫定解決はあくまで暫定。決定的なエラッタではない――NCが処理に迷う際の補助程度」
「完全に正しい解答ではないってことか」
「ルールの根源的矛盾点解決は不可能と判断。暫定的に各部分への解決案を提示する」
「総合解決は無理か……どうにもしまらないね」
(なんだか仲間はずれ……)
「暫定解決はいくつかの要因によって引き起こされる。まず大きな暫定解決から提示していく。また、暫定FAQも付随させながら説明する」
「OK、じゃあよろしく頼むよ」
 
●P78、タイミングの項目、「ダメージ」の内容
バトルパートで射程内の対象がダメージを受けた際。基本的にマニューバごとに1ターン1回のみ。
 ↓
バトルパートで舞台上の誰かがダメージを受けた際。基本的にマニューバごとに1ターン1回のみ。

「何よ。ほとんど同じ……じゃない!?」
「これは……かなり、大きいね。一応ダメージタイミングのマニューバについては全てチェックしたんだろうけど」
「は、はい♪ がんばってしましたっ」
「詳細を言えばダメージタイミング……というよりダメージ発生の詳細なタイミング管理にはまだ問題がある。ただし、FAQでも言ったが『ダメージの発生』と『損傷の適用』は別タイミング。これはダメージが確定したタイミングであり……射程の概念を効果対象の距離に限定する」
「つまり、まったく別の場所で発生したダメージタイミングに合わせ、自身に『防御』を使ってもいいわけか」
「それって意味ないんじゃないの?」
「意味がないことにより、婉曲的にPLは発生させない。“自身がダメージを受けた時しか使えない”が“誰がダメージを受けても使えるが意味がない”となった」
「……なるほど。『防御』や【有刺鉄線】【スパイク】なんかはそれでいいけれど。ゴシックの【捕食者】【背徳の悦び】あたりはかなり強くなりそうだね」
「そのあたりは、ダメージタイミングの問題を改める以上しょうがないということで……」
「さらに、暫定FAQとして大成功によるダメージの増加はダメージタイミングとする。また、狂気点による振りなおしもジャッジタイミングとする」
「それはまあ……普通じゃない?」
「普通なんですが……改めて書き込むのにいい場所がなくて……暫定FAQという形に(汗)」
「各マニューバの暫定解決前に、一通りタイミングや効果について先に並べる。それらがマニューバ関連の前提となることも多い」
 
●P78、各タイミング説明、「ラピッド」の内容1~2行目
バトルパートで誰かがマニューバの使用を宣言した際(ラピッドタイミングに対しラピッドを使用してもよい)。
 ↓
バトルパートで誰かが、アクションないしラピッドのマニューバの使用を宣言した際。

「ちょっ、何よこれ!『ジャッジ』や『ダメージ』には割り込めないわけ?」
「は、はい。解決として、どうしてもそうしないとでして……」
「こうした制限は必要と判断。『ラピッド』が無制限に割り込む場合、『ジャッジ』つまり判定中に攻撃判定が割り込み、別の『ジャッジ』が発生したりし、混乱する」
「うん……確かにあれは時々混乱するね。しかしすると……これは『ダメージ』の暫定解決以上に多く問題を起こしそうに思うんだけど。特に『ジャッジ』『ダメージ』で起こることが気になるな……」
「そ、そこは各マニューバ暫定解決で説明しますわ」
「むしろ『ラピッド』によるアンフェアな動きを制限するための解決。『支援』を乗せて命中させ、【スパイク】などで増加させたダメージを、割り込み【ホッパー】で避けられるのは納得いかない」
「あー。それはまあわかるわね。最初のアクションで割り込んで使われるならともかく、最後の最後でなかったことにされちゃかなわないもの」
「とはいえ、これで引き起こされる問題を拾いきれているかどうかわかりませんし……割り込みを土台に遊ばれてきた方もいらっしゃるかと思うと……暫定で……」
「そういう言い方はどうかと思うけど、とりあえずニュアンスは理解できたよ」(なでなで)
「うう……」
(けっ、相変わらず色目つかってるわね)
「遊んでいられる状況ではない。かまわないなら次に進める」
 
●P79、197『移動妨害』の内容
射程内の対象が行った移動マニューバの移動距離を「-X」します(ただし最低0)。
 ↓
射程内の対象が、次のアクション処理までに移動マニューバの対象となったなら、その移動距離を「-X」します(ただし最低0)。

「おや、これは……なるほど。【ワイヤーリール】や【パイルバンカー】に合わせたんだね」
「これで“移動マニューバの対象”“実際に移動する者”を対象とすることになる」
「それはいいけど、どーして“対象となったなら”なわけ? “移動マニューバの対象を対象とする”でいいんじゃないの?」
「いえ、その、それが…………」
「『移動妨害』は基本的にラピッドタイミング。『移動』するより先に、『移動妨害』が処理される。こう書いておけば、先に処理しても後からの移動が全て可能」
「ふむ……では『移動妨害』の対象にさらにラピッドタイミングで『移動』が行われたらどうなるんだい?」
「処理順は“ラピッド移動→移動妨害→当初の移動”。ラピッドで『移動』すれば、対象の位置が変わるため『移動妨害』は無効化。当初の移動マニューバが第三者によるものなら、この『移動』も無効化。ただし、対象が自身ならそのままさらに『移動』」
「ややこしいわね……」
「それでも以前より画一化される」
「ところで気づいたんだけど、これって【パイルバンカー】の攻撃対象に『移動妨害』する場合、命中するかどうかよくわからなくても使うしかないの?」
「そ、そうなんですよ~」
「それは今回決まったことではない。元々、【パイルバンカー】への移動妨害はそういうもの。重要なことは、【パイルバンカー】が『移動マニューバ』の一種と認められたこと」
「え? それじゃ、ホリックが自身に使えば【奈落の引力】でコスト軽減も有効ってこと?」
「有効」
「……強いね」
「ま、まあ3レベル改造パーツということで……あははは……」
「そして次が最後の根本系暫定解決」
 
●P79、197『全体攻撃』の内容
必ず「○○攻撃X+全体攻撃」となっています。この攻撃は射程内のエリア1つを対象とし、命中すればエリア内の全存在にダメージを与えます(特記されていなければ使用者自身や味方も含みます)。
 判定は1回行い、範囲内の全てに同じ判定値で命中します。大失敗の際は、その攻撃から「全体攻撃」の効果は失われ、通常の大失敗の処理を行います。
 ↓
必ず「○○攻撃X+全体攻撃」となっています。この攻撃が対象に命中した場合、対象のいるエリア内の全存在に同じ判定値で命中し、ダメージと付与効果を与えます。特記されていなければ使用者自身や味方も含みます。
 なお、大失敗の場合、「全体攻撃」の効果は失われ、通常の大失敗の処理を行います。

「あれ? え? 対象が普通に一体?」
「あは、あははは……普通に一体が対象じゃないと、問題が多くて……」
「ふぅん……これは【アンデッドガン】を持つボクにとっても他人事じゃないね。まず、最初の攻撃対象を【庇う】ことで全体攻撃の発生エリアをずらせるんだよね?」
「ちょっ! 私だって【災禍】があるんだけど! どうするのよ!」
「【庇う】でダメージ発生エリア変更は可能。ただし、これで判定処理全般は簡易化される。特に【肉の盾】【無限解体】【災禍】【殺劇】とそれらの組み合わせ」
「うん……まあ、対単体で処理する方が処理はしやすい。特に【殺劇】はこれで大幅に解決するだろう」
「各マニューバに基づいた説明でそのあたりは……なんとか……」
「補足。『全体攻撃』の効果は大失敗では失われる。また、『連撃×』も過去エラッタ修正により任意発生となっているため、大失敗では失われると考えていい」
「えーと……そうね。それがどうしたの?」
「逆説的に言う。それ以外の全ての付与効果は、特殊なものも含め、特に記述されていない限り――大失敗でも発生する」
「これを暫定追加脚注として書くのも……という理由でひとまず、暫定FAQです……」
「なるほどね。さっきの【パイルバンカー】の大失敗例などについて、明言しておくわけか」
「では、総合面をここまでにし、各マニューバ説明に入る」
 
●P72、ステーシーのスキル【庇う】の効果
対象が受けたダメージを、代わりに自身が受ける。1ターンに何度でも使用可。
 ↓
対象が受けたダメージを、代わりに自身が受ける。1ターンに何度でも使用可。ただし、『全体攻撃』によって引き起こされたダメージに対しては使用不可。

「ふぅん。リプレイでも『全体攻撃』に使えないことにする、って言ってたものね。それが“引き起こされたダメージ”だけ不可になるわけね」
「『全体攻撃』のエリアずらしが可能なら、かえって【庇う】は強くなったようにも思えるんだけど」
「はい、私よりネメシスさんやヒルコさんの方が活躍しそうで……」
(……元々、あいつらの方が活躍してるじゃん)
「ドール側、手駒側、どちらにも持ち主のいるスキル。過剰な火力への抑制にもなることを期待されている」
「ボクとしては【アンデッドガン】が弱くなりそうで厳しいけれどね」
 
●P72、ステーシーのスキル【肉の盾】の効果
ダメージに付随する効果全て(切断や連撃、全体攻撃など)を打ち消す。
 ↓
対象の受けたダメージが攻撃マニューバによるものなら、あなたはそれに付属するダメージ以外の効果(切断、爆発、転倒、連撃、全体攻撃、その他より特殊なもの含む)から、任意のものを任意の数だけ選び、打ち消してよい。

「え? これって平たく言えば不利な効果は全部消せるってこと?」
「もともとそういう面があったからね。しかし、ダメージタイミングと『全体攻撃』に暫定解決した場合……相当強いスキルになるな」
「そうでしょうか? 1ターン1回ですし……大丈夫かと思ったのですけれど」
「コスト0で、【アンデッドガン】が単なる1ダメージに変えられるのは酷いだろう」(ぐにい)
「つねっ、ふへはないれ~」
「はぁ……ステーシーは元々便利だったけど優遇されたのねー。私も次は【庇う】を取ろうかしら……」(チラッチラッ)
「防御性能に欠けるドールが持っても意味は少ない」
「わかってるっつーの。アンタに言ってないわよっ」
「仕事のオンオフは分ける。今は仕事中。遊びではない」
「アンタ、ちょくちょくよくわかんないこと言うわね……」
 
●P73、タナトスの特化スキル【無限解体】の効果
自身がダメージを与えた際のみ使用可。次カウントまで、所有する攻撃マニューバは全て同対象に使う限りタイミングが「ダメージ」となる。
 ↓
自身がダメージを与えた対象にのみ使用可。現行動値が0以下でない限り、あなたは次カウントまでダメージを与えたもの以外の使用可能な攻撃マニューバを最大1回ずつ、同じ攻撃対象にそれぞれ本来のタイミングで使用してよい(現行動値とカウントの差は無視する)。

「ん? ダメージタイミングに攻撃するわけじゃなくなったってこと?」
「うーん、自身に【号令】がかかりっぱなしになるってことかな」(むにむに)
「ひゃわわわ、やめてください、くすぐったいですっ」
「攻撃マニューバが複数あれば、多様な攻撃を1カウント中に打ち込める」
「ああ、ラピッド自体はそれぞれに対して使ってもいいわけね。【刹那】があれば以前と同じ解釈だし……悪くはない……かな。少しわかりにくいけど」(抓り)
「つっ……やれやれ。両手に花もラクじゃないね」(なでなで)
「――次に移る」(ぷい)
(手強いな……)
 
●P73、タナトスのスキル【災禍】の効果
自身が与えた白兵攻撃にのみ使用可。「全体攻撃」の効果を得る。これによって自身がダメージを受けることはない。
 ↓
自身が与えた白兵攻撃ダメージにのみ使用可。このダメージに「全体攻撃」の効果を加える。この「全体攻撃」によって自身がダメージを受けることはない。

 
●P73、タナトスのスキル【刹那】の効果
バトルパートで、攻撃マニューバを使用した際、自身以外は「ラピッド」「ジャッジ」でマニューバを使用できない。
 ↓
バトルパートであなたが攻撃マニューバを宣言した際、この処理に対して自身以外は「ラピッド」「ジャッジ」でマニューバを使用できない

「これらは言葉の厳密化のみ。大幅な内容変更はない……ただし、FAQレベルで一点、明文化がある」
「はぁ、はぁ……は、はい。【災禍】は『○○攻撃X』ではないため、攻撃マニューバではありません」
「そうなると何か違うのかな」
「別に攻撃マニューバとして使用したりしなかったと思うけど……」
「えへへ、私達にとっては違うんですよ~。つまりこれは『全体攻撃』のついた『攻撃マニューバ』ではないのです。手駒作製で使っても、悪意は1.5であって2.0じゃありません」
「0.5くらいでそんなに違うものかしら」
「うふふ♪ 違いますわ。【はらわた】を外して【災禍】を取り付ければ、白兵攻撃系手駒は誰だって悪意+1で全体攻撃持ちです。悪意9の【災禍】持ちになったオチムシャさんは強いですよー♪」
「……やっぱアンタ、本質はサヴァントなのねぇ」
 
●P90、2レベル改造【ゾンビボム】のデータ
T:ダメージ C:0 R:0
このパーツが損傷した際のみ使用可。判定値8(ジャッジタイミング発生)の「砲撃攻撃2+爆発+全体攻撃」を与える。
 ↓
T:オート C:なし R:0
このパーツがバトルパート中に損傷した時、自身に対して判定値8の「砲撃攻撃2+爆発+全体攻撃」が発生する。ただし、この効果に対して「ラピッド」「ジャッジ」タイミングは発生しない。

「論理的整合性は上昇したものと判断」
「ちょーっと待ちなさいっ! 『ラピッド』『ジャッジ』が発生しないってどういうこと!?」
「そのままの意味。割り込みが入ると、固定した判定値に面倒な問題が発生する」
「どういう問題だい?」
「いえ、その~。実は“出目”と“判定値”が場所によって整理されていなくて……判定値のままでは、ジャッジタイミングの出目操作や振りなおしまで可能になってしまうものですから……」
「…………」
「…………」
「そんなわけで、その……こういう内容に」
「問題ないものと判断した。対象も自身であるため、敵側の自己犠牲がなければ強制的に発動し、大被害を与えることがこのパーツでは好ましい」
「ま、ボクたちが望んで使うパーツじゃなかったからね……オートだからラピッドも発生せず。さっきの【庇う】【肉の盾】が有効対策かな」
 
●P91、3レベル改造【ガントレット】の効果
腕のみ、ダメージに対して常に「防御1」。腕部にある白兵・肉弾攻撃のダメージ+1。
 ↓
ダメージタイミング、あなたは腕のみ『防御1』を得る。さらに、腕部にある白兵・肉弾攻撃マニューバのダメージ+1。

 
●P91、3レベル改造【キャンサー】の効果
脚のみ、ダメージに対して常に「防御1」。バトルパートで移動時、白兵・肉弾攻撃マニューバを1つ「ラピッド」で使用可。
 ↓
ダメージタイミング、あなたは脚のみ『防御1』を得る。さらに、バトルパートに自身の移動マニューバで移動に成功したなら、移動前か移動後のエリアの対象1体に、白兵・肉弾マニューバ1つを使用可。

「ええっと、これはオートで『防御』という効果の意味が不明なためタイミングを決定しましたわ。あと、【キャンサー】は手駒専用パーツ【突進】に慣わせました」
「ふーん……さしあたっては無難な変更に見えるけど」
「なお、『爆発』で派生するダメージは“ダメージが適用された際”発生するため『防御』効果不可。【庇う】はダメージタイミングで減少可」
「そうだね……うん。さしあたっては問題なさそうに見える」
「元々の【ガントレット】【キャンサー】には多くの問題があった。特に【だるま】に関する点は無視できず、必然的に【だるま】も変更されている」
 
●P88 3レベル変異パーツ【だるま】の効果
「腕」か「脚」にダメージを受けた際、ダメージを任意の箇所に振り分けてよい。
 ↓
★前エラッタ
「腕」か「脚」にダメージを受けた際、任意の箇所を望む数選び、ダメージを振り分けてよい。切断判定は、ダメージを受けた箇所の1つを選んで行う。
 ↓
★今回の暫定処理
「腕」か「脚」にダメージが適用された際、任意の箇所を望む数選び、ダメージを振り分けてよい。『爆発』が付与されたダメージに対してこの効果は発生しない。切断判定は、ダメージを受けた箇所の1つを選んで行う。

「これは未だ方針の固まらないタイミング問題も内包する。前エラッタに対し、『爆発』を優先させた」
「適用された際? つまりダメージタイミングが終わった後で振り分けるということかな?」
「はい♪ そうしないと、【ガントレット】【キャンサー】があれば1点ずつ“同じ箇所”に振り分けて0ダメージに……とか起きてしまいまして……」
「それは思いつかなかったけど……そっか、ダメージタイミングが曖昧だとそんなこともできるのねー」
「普通に考えればそうじゃない……けど、ルール上できないとも言えない部分だったからね……」
「こうした修正は根本部分への暫定処理が行われたことで形になっている……あれらが崩れればどうなるかわからない」
「しかも、全て整合性与えるのは無理な様子ですので……矛盾そのものが皆無になるわけではないのですよね(汗)」
「困ったものだね……」
   
「以上を持って今回のFAQおよび、暫定解決とする」
「ううん、確かにこれは暫定としておくしかないね。根本整理は難しそうだ」
「すっきりしたようでもあり……いろいろと問題を抱えた気もするしで。面倒そうね……」
「一年以上に渡り更新できなかったことは、私の問題でもある。資料を渡しておくので早めに残る問題についても並列解決試行を行いたい」
「うううう、すみません~~(汗)」
「残る点についても近く暫定解決なりとも進める。大きな問題は2点」
 
●ジャッジ~ダメージ間のタイミング詳細
●同時行動の問題

「へぇ♪ 一年も待たせた暫定解決とはいえ、減ったじゃない」
「とはいえ、もうすぐ新サプリメントが発売だろう。追加の問題が生じなければいいのだけれど」
「うう、こわいこと言わないでください……」
「我々が馴れ合うことは難がある――途中報告日は設ける。別行動を推奨」
「ふん、言われなくたって出て行くわよ! ほら、コートいきましょ!」
「ボクは一緒にいてもいいと思うんだけど……」(ずるずる)
 
  (ガチャン)
 
「行っちゃいましたわね……いっしょでもかまいませんでしたのに……」
「――業務、終了。プライベートへ移行」
「バルキリーさんだって仕事の顔しか見せてませんし……」
「クイーンはドールと馴れ合いすぎている。身体洗浄が必要」
「けど、水資源の残る本拠地を探した方がいいんじゃありません? バルキリーさんにいつもこんなことをさせるのは……」
「世界には汚染水しかない。私はクイーンに奉仕するため存在する。私の舌でクイーンの体を清めることは当然の帰結」
「……わかりました♪ では、よろしくお願いしますわね♪」(するする)
「【スコープ】起動、REC開始――【よだれじた】起動、粘液分泌開始――」





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